社労士や税理士事務所などの士業の業務において、日々のタスク管理を徹底して行うことは必要不可欠です。なぜなら法律に沿った手続きや事務処理を行わなければならず、その結果物も間違うことが許されず、期限も1日でも遅れるとアウトということも珍しくないからです。これらの業務に対して適切な管理を行うことは必要最低条件なのですが、その方法論についてはあまり論じられることがありません。言わば『他の事務所がどんな管理方法をしているか分からない』状態であり、業界としての標準的な管理方法があるわけではありません(一つひとつの手続きなどのマニュアルはあると思いますが、それを管理する方法はバラバラ)。私も士業業界にいる身として、あれやこれやと試しては失敗し、これまで多くの苦労を味わった上で辿り着いた管理手法が『Notionを使ったタスク・情報管理』です。むしろ士業という特殊な業界だからこそ、Notionが最も適していると考えています。本稿では『Notionとは何か』『どんな課題に対してどのようなソリューションがあるのか』『なぜ士業事務所に最適なのか』について解説をしていきたいと思います。『Notion』とはどんなツール?Notionは、アメリカ・サンフランシスコ発のオールインワンワークスペースと呼ばれるクラウドツールです。「オールインワークスペースって何?」と思われるかもしれませんが、要は業務に必要な全ての機能を擁しているということです。メモ、タスク管理、プロジェクト管理、ドキュメント作成、チームワーク、など多岐にわたる機能を備えています。もちろん、今や業務上必須となっている生成AI機能も搭載されています。特徴についてシンプルで使いやすいインターフェース: どのようなユーザーでも直感的に操作できます。シンプルな見た目になっています。豊富な機能: メモ、タスク、データベース、カレンダー、ギャラリーなど、あらゆる種類の情報を整理できます。高いカスタマイズ性: 使う人のニーズに合わせてワークスペースを自由にカスタマイズできます。使いながらも後付けでカスタマイズ可能で、使うほどに育っていきます。チームでの共有: チームで情報を共有して、共同作業を効率化できます。社内の個々人のタスクの進捗具合を俯瞰してみることができ、社外の人と特定の情報を共有することも可能です。さまざまなデバイスで利用可能: パソコン、スマートフォン、タブレットなど、さまざまなデバイスで利用できます。料金については、まずは無料プランから使い始めることも可能です。『有料プランは最低10ユーザーから』のような縛りもないので、10名未満事務所でも低コストで運用が可能です。Notionで解決できる課題士業事務所が抱える課題とは?そもそもの大きな課題として、社労士・税理士事務所のみならず多くの士業事務所において、『同業他社と差別化を図って価格競争から抜け出し、安定した収益を上げていかなければならない』という課題があります。ただ、その差別化を図る以前に基礎となる業務管理を徹底し、品質の安定・生産効率の最大化・ヒューマンエラーの防止を達成しなければなりません。分かりやすい例として、家づくりに置き換えて考えてみると、『土台となる基礎工事=業務管理』『その上の建物=差別化戦略』となります。差別化戦略についての情報やサービスは溢れているため、すでに取り組んでいる事務所もあるかと思いますが、そもそもの基礎部分がグラついている状態では安定した事務所運営ができず、結果として差別化に至らない状態となってしまいます。社労士事務所の業務を例に挙げると、入社手続きについても、A事務所とB事務所とでは出てくる公文書に違いはありません。顧客からするとスピード感や正確性などが比較対象になるかと思いますが、比較する機会もないのであとは料金の違いになるでしょう。もちろん成果物だけではなく、日頃からの関係性なども重要になってきたり、その関係性から引き出される課題解決への提案などが事務所の特色となっているはずです。しかし、その当たり前と思われる業務管理がなかなかうまくいっていない事務所も少なくありません。具体的に、多くの士業事務所が抱えている課題として次のようなものがあります。担当者制をとっているところが多く、属人化してしまっており、事務処理の知識が個人に蓄積されている。業務ソフトは各種あるものの、それらを横断するツールがあまりなくエクセルでなんとか管理している。そのためミスや漏れが防げない。労働集約型ビジネスのため、顧問先数を増やすことで売り上げを上げていっている。そのため業務プロセスの効率化をしなければ時間単価が低くなってしまう。顧客から「あの件どうなっていますか?」の問い合わせも多く、顧客からは見えない部分が大きい。そのため顧客満足度を上げるための方策が必要だと考えているが、事務所通信を発行するのでリソースが尽きてしまっている。法改正などの情報を都度都度調べており、情報が資産化されていない。などですが、これらの課題を一挙に解決してくれるツールがNotionなのです。Notion導入で解決できることNotionはこれまでに説明した通り、汎用性のあるツールであるため、うまく使いこなすことができれば各事務所の課題を見事に解決してくれます。Notionをうまく使いこなした場合、次のようなことが可能になり事務所運営がアップグレードされるでしょう。顧客との問い合わせ履歴を蓄積することができる。手続きタスクの状況を可視化することで抜け漏れリスクを解消できる。法改正情報や業務知識を事務所に蓄積することができ、情報の資産化ができる。タスクを工数管理することで業務プロセスの標準化に繋がり、生産性が向上する。資産化された情報とNotion搭載の生成AIを活用することで、教育コストを下げ、新規採用人材でも活躍までのスピードを速めることができる。顧客に対し外部共有ページを作成することで、手続き状況の可視化および共有化ができ、それだけで他事務所との差別化が図れる。このように、現在の事務所運営がアップグレードすることで『顧客満足度の向上』『労働生産性の向上』『職員給与の向上』『顧客単価の見直し』へと繋がっていきます。実際の画面ってどんなもの?よりイメージしやすいように、実際の画面を紹介します。・タスク管理現在担当者がどんな業務を抱えていて、どのようなステータスなのかが一目で分かります。またタスクを振り返ることで、業務プロセスの効率化を図ることも可能です。・Notion搭載生成AI機能これまで個人に蓄積していた調査事項や法改正情報など…これらがNotionに蓄積されることで、情報が資産化していきます。それらの情報を複数ページからまとめてAIが抽出してくれることで、これまでその都度発生していた調査時間の短縮・教育コストの削減・属人化の防止にも繋がります。・顧問先専用マイページお客様との共有マイページを介して、リアルタイムに情報発信をすることができます。このマイページ内で、手続きの進捗状況のみならず、過去に依頼した手続き履歴やシーン別手続きQAなどの情報が可視化されることで、これまでのコミュニケ―ションコストを大幅に削減することが可能になります。さいごに今回は『なぜ事務所運営にNotionが必須なのか?』についてまとめてみましたが、ザックリとでもイメージが沸いたでしょうか?上記の通り、Notionを活用することで従来のアナログ業務から抜け出し、事務所運営の基礎を盤石にすることができます。さらに、事務所内の効率化やリスク対策のみならず顧客接点や提供価値を大きく変えることにも繋がります。『顧客接点を変え、業務プロセスそのものを見直すこと』こそが、真のDX化と言えるのではないでしょうか。「これから顧問料を適正化していきたい」「もっとお客様満足度を高めたい」と悩んでいた事務所の方も、クラウドを活用することでむしろ高付加価値なサービスを提供するチャンスです。※『Notionを活用した事務所運営』にご興味がある方、また不明な点などがあればお気軽にお問い合わせください。お仕事の依頼や問い合わせはこちらからサービスに関するご相談がございましたら、CONTACTフォームよりお気軽にお問い合わせください。コンタクトフォーム▼Juvenalis株式会社代表取締役 一木 信輔社会保険労務士/精神保健福祉士/人事コンサルタント[関連事業]▼社会保険労務士事務所アルモニー「クラウド管理で安心サポート」いつでもどこでも活用できる社労士サービスを提供しています!社会保険労務士事務所アルモニー